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三井住友カードの複雑な事情

それにしても、何故、日本を代表するようなカード会社が突然に電子マネー陣営の手先になったのか、これは万人の関心を呼ぶところであるが、それにはメガバンク争奪戦が関係していた。二〇〇〇年に入ると、メガバンクの再編が急展開で進み始めた。三菱東京グループ、みずほグループ、三井住友グループ、それにUFJグループの四大銀行グループがそれぞれ規模の拡大を巡って壮絶な戦いを繰り広げた。そして、最終段階に差しかかって、再編の焦点は、UFJグループの帰趨に移った。

UFJグループをどこが取るかが問題とされ、そこを取ったところが再編競争に勝利するといわれだした。三井住友銀行は、最初からUFJグループに統合を働きかけ、その工作は順調に進んでいるように思われた。ところが、最終的な詰めの段階で、東京三菱銀行にかっさらわれてしまった。これは三井住友グループには大きな打撃となった。メガバンクの総資産、営業収益、会員数などの規模の面で遅れを取っただけではなかった。子会社のカード会社の数で、三菱東京グループに大きく水をあけられる結果になったのだ。

さらに、業界第二位でVISAの盟主を誇っていた三井住友カードはその名誉を返上しなければならなくなった(当時業界第一位はJCB)。三菱東京グループ傘下のニコスが、DC、UFJカードと「三菱UFJニコス」という名でひとつになれば、取扱高、会員数などで業界第一位の規模になり、VISAの盟主はそちらに移る。そうなれば、これまでのようにVISAインターナショナルとの親密な関係は継続できない。そのため、三井住友カードは、ドコモの提案に乗り、iDに協力することで、電子マネー陣営の一員に加わるという全く新しい選択をしたのだ。