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電子マネー陣営の大攻勢

三井住友カードの苦悩を余所に、クレジットカード陣営は、クイックペイを使って、iDの勢いを削ごうとした。そして、○五年から○六年にかけて協議会は何度も決起集会を開き、クイックペイの立ち上げ・普及を話し合った。しかし、実際には現在に至るまで正面切っての対決には到っていない。現実には協議会メンバーの力を結集することはできなかったのだ。協議会に集まるカード会社にはそれぞれの事情があって統一的な行動をとるのは難しかった。たとえば、みずほフィナンシャルグループのクレディセゾンは、顧客の利便性を第一としており、顧客の求める電子マネーとはなるべく多く提携しようとしていた。

クイックペイにはもちろん対応するが、iDとも手を組むことを最初から明言しており、現在は、iDもメニューに加えている。三菱東京グループの傘下に入ったニコスは、もともとスマートプラスという独自規格を開発していたが、三菱がVlSAの盟主となったことから、クイックペイだけでなく、VISAの規格であるビザタッチの採用、推進にも力を入れている。また、ライフカードは三井住友グループとの関係が深いというので、○八年にはIDを採用するなど、それぞれが独自の動きをしている。そのために、クイックペイでの反撃という目論見は外れたかたちになっている。

一方、クレジットカード陣営がもたついている開に、○七年に入ると電子マネー陣営の大攻勢が始まった。大型電子マネーが相次いで登場したのだ。○七年三月には首都圏私鉄・バスの共通IC乗車券のパスモが発行になり、JR東日本のスイカとの相互乗り入れが可能となった。これにより、首都圏の電車・バスはスイカかパスモをもっていれば、自由に乗り降りできるようになり、しかも、駅構内の売店や街ナカのコンビニでの買い物も可能となった。乗り換えが楽になったし、買い物も手軽にできるようになった。また、ロコミでその便利さが広まったために、パスモヘの申し込みが殺到し、一時販売を中止せざるをえなくなった。

首都圏一帯がパスモの熱にうかされているようだった。それほど人気が高まったのだ。つづいて、四月にはセブン&アイーホールディングスから、買い物系電子マネーのナナコが発行になった。これはセブンイレブンでの買い物に利用できるようになった。さらに一週間たらずで、イオングループがフォンという電子マネーを発行して、対抗心をむき出しにするなど、大型電子マネーが全国を席巻する勢いになった。とくにセブンイレブンは東日本中心に多店舗展開しているし、イオン(ジャスコなど)は、全国津々浦々に店舗をもっているために、電子マネーの存在を日本全国に認知させるのには大いに役立った。