記事一覧

クレジットカード陣営の方向転換

交通系と買い物系の大攻勢の前に、クレジットカード陣営は、方向転換を迫られた。かざすだけで支払うことができる簡便さから、電子マネーは、少額決済市場で急速に勢力を伸ばしだした。そのうえ電子マネーは、利用件数がクレジットカードの比較にならないほど多いことが分かって、マーケティングツールとして活用しうることも判明した。それを知って、さらにクレジットカード陣営は焦りだしたのだ。うかうかしていると、エディ、スイカのライバルに決済の主役の座を奪われてしまうという危機感である。さらに、○六年十二月に成立した改正貸金業法によってこれまで収益の中心となってきたキャッシング、ローンの金利引下げが決まり、当てにできなくなってきた。

二九・二%だった上限金利が二〇%まで引下げられたのだから、約一〇%分の収益がふっとぶことになった。この際、クレジットカード陣営は、ローン以外にも何でもよいから収益源を確保する必要に迫られた。もはやiDを潰すなどといっている場合ではなくなった。いかに電子マネー陣営とうまく関係を作り、上手に取り込むか、それこそがクレジットカード陣営の生き残りの基本戦略となった。そのためには、まず、自社のクレジットカードから電子マネーにチャージできる権利を得る必要があった。また、一体型カードを積極的に提案し、電子マネーを搭載することに苦心し始めた。

カード会社だけでなく、メガバンクも、この分野に本格的に力を入れようと動きだした。いまやどのカード会社も電子マネーとの紐づけに必死である。つまり、クレジットカード陣営は、電子マネーの後ろに回ってキャッシュレス化を支援する立場にはっきり転換したといえる。電子マネーに対する消費者の絶大な支持をみる限り、電子マネーを取り込んで行かなければ、クレジットカードを使ってもらえない時代がやってきたのだ。そのため、ANA・Edyにも各社は積極的なサポートを行なうようになった。

ANA・Edyは、利用者にとってはお得を取る仕組みであったが、一方のカード会社にとっては、持ち出しばかり多い分の悪いサービスである。それでも、各社は、電子マネーの申し子といわれる陸マイラーたちの機嫌を取るためにも、そこにお金をつぎ込まねばならないと競ってサービスに参加した。それによって、マスコミや大衆の人気を引きっけることができると信じて疑わなかったからだ。電子マネーこそ主人で、クレジットカードは家来になるという状況が出現したのだ。しかし、これはますますクレジットカード陣営の欲求不満を募らせることになり、もちろんその財政も圧迫した。