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拡大するクレジットカード・ショッピング

クレジットカード・ショッピング取扱高は、この二十年間で一貫して右肩あがりで推移している。日本クレジット産業協会の調べによると、クレジットカード・ショッピング取扱高は毎年一〇%内外の割合で伸びている。二〇〇六年には、ショッピング取扱高は三十四兆七千六百九十五億円で前年比八・一%増であった。また、同協会が発表したクレジットカードの発行枚数も二〇〇七年三月末で二億九千二百六十六万枚と前年比三百六十一万枚の増加となった。国民一人あたり二枚以上は持っている計算となる。このように続伸しているのは、クレジットカードが日常生活に深く浸透し始めていることがある。

たとえば、スーパーやデパート、レストランやホテルはもちろん、高速道路の料金所、宅配便の支払い、タクシーからカラオケまでカードを使えるシーンが増えてきた。さらに、最近は電気、ガス、携帯電話、新聞代、NHK受信料といった公共料金の支払いが可能になったのに加えて、○七~○八年から自治体が管理する公金も解禁になった。それによって、水道料金や自動車税もカード払いができるようになり、大いに便利になった。この公金市場がすべて解禁になれば、二十兆円を上回る規模かおるといわれる。それがカード払いの対象となるわけで、ますますクレジ。トカードが活躍する社会になるだろう。そうした新市場が目の前に広がっているため、前途洋々のクレジットカード陣営の鼻息は荒い。

ところが、そこに現れたのが、スイカをはじめとするフェリカ式の電子マネーであった。クレジットカード陣営がこれからドライブをかけ、果実を摘み取ろうとした矢先に割り込むようにでてきたのだった。その代表がスイカとエディである。この二つの電子マネーが誕生したのは共に二〇〇一年十一月だった。奇しくも同じ誕生月だったが、二つの電子マネーが姿を現し允ときに、クレジットカード陣営は、全く脅威には思わなかった。JR東日本とビットワレットというキャッシュレス分野に素人の人たちが細々と地域マネーを手がけ始めたというぐらいの印象しかなかった。

というのも、クレジットカード陣営は、電子マネーと名のつく実験にさんざん付き合わされて、もううんざりしていたからだ。とくにVISA、マスター、JCBなどの国際ブランドが、現金に代わる決済手段として、電子マネーの開発と普及に取り組んできた。そのための実験が九〇年代を中心に何度も繰り返され、その都度カード会社は引っ張りだされたのだった。それも世界を巻き込んだプロジェクトであった。国際ブランドとしては、磁気式のクレジットカードに代わって、世界で流通する電子マネーの開発を急ぎ、次のスタンダードを確立する必要があった。

新しいデファクトを握ったところが、次の二十年、決済市場を支配するといわれていたので、必死だった。九五年には英国のスウィンドン市でモンデックス(現マスター)という電子マネーの実験が行なわれた。九八年から九九年にかけては、VISAインターナショナルが東京・渋谷でのVISAキャッシュ、さらにはNTTグループによる新宿でのスマートカードの実験などが相次ぎ、小口決済を扱う分野を対象に展開された。しかし、どこの実験もうまくいかなかった。失敗したといっていいだろう。

その理由は、この時点で展開された電子マネーのICカードが接触型で、暗証番号を人力したり、カードを読取機に差し込んで情報を読み書きするため、処理に時間がかかり、その使いにくさから、「現金を使った方がよほど速い」とみなが思ったからだ。私も渋谷でVISAキャッシュの実験に参加したが、二百円の商品を買うのに五分も十分もかかったので、これでは使い物にならないと痛感したものだ。そんな事情だったから、最初は鳴り物入りで宣伝されていた実験は、どれも一~二年で立ち消えになった。