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「かざして得する」がキラーコンテンツ

しかし、二〇〇一年から日本で起こった今回のブームは、どれも非接触IC(フェリカ)を使ったもので、これはICが読取機に接触しなくても情報の読み書きをすることができる。カードをサイフやパスケースから出さずにかざすだけで決済できるのが特色だった。読取機に近づけると、カードが電磁波を感知して電流が流れ、読取機との間で情報をやりとりし、改札を通過できたり、買い物ができるという仕組みだ。また、かざして決済処理が終了するまでわずか〇・一秒しかかからない。その手軽さから利用する人が徐々に増えていった。とくにスイカは鉄道系ならではの使い勝手のよさが人気になった。

非接触ICカードによる「かざすだけで決済OK」という特徴が、本業のビジネスモデルにフィット、切符を買わずに改札をスルーできる利便性は、他の電子マネーのそれを上回った。スイカ、エディともに、発行開始から口コミで人気が高まり二〇〇五年までに発行枚数が一千万枚を突破した(○八年八月現在でスイカが二千三百万枚、エディは四千万枚を突破するまでになった)。それでもクレジットカード陣営は電子マネー陣営を甘くみていた。もし、スイカやエディが本当に立ち上がったとしても、実績と伝統のあるクレジットカードには遠く及ばないだろうと考えていたからだ。

たしかにそれは事実であり、両者の市場規模を比較すればよく分かる。クレジットカードのショッピンク取扱高はすでに三十四兆円もある。それに比べて○二~○三年当時の電子マネーの市場規模は数百億円レベルにすぎなかった(○七年度でも八千四百四十四億円)。大衆受けはする電子マネーであったが、その実態は「芥子粒」のようなものだった。クレジットカードと電子マネーがもし戦ったとしても、それはまるで巨象とアリの戦いだった。本気をだせばアリをひねり潰すなど簡単なことだった。