記事一覧

電子マネーとは市場規模が違いすぎる

それでも今すぐに電子マネー陣営を潰すようなことはしない。クレジットカード陣営は余裕を見せた。クレジットカードと電子マネーは根本的なところで、棲み分けが可能といわれているからだ。むしろ、コンペチターではなく、共に現金を駆逐しキャッシュレス化を押し進めるまたとないパートナーになりうるという見方だった。というのも、クレジットカードは主に五千円以上の買い物が対象となり、旅行チケット、ホテル宿泊、家具、家電などまとまった買い物に使うことが多い。「ハレ」の日に使うというイメージである。一方、スイカをはじめとする複数の電子マネーが狙っているのは、三千円以下の少額決済市場である。

交通運賃、コンビニ、スーパーなど小銭の活躍する分野で利用される。プリペイド型の電子マネーの場合は、あらかじめチャージできる金額が二万円から五万円と限られていることもあって、また、大金をチャージしておくと、セキュリティ面でも不安だという理由で少額決済に特化しているともいえる。いずれにしろ、電子マネーは、毎日の暮らしの中での利用であり、クレジットカードの利用が「ハレ」であるのに対して「ケ」での利用というイメージである。これまで、日本人は、三千円以下の支払いにクレジットカードを使うのは抵抗がおるため、現金で支払うことが多かった。

そのため少額決済市場は、六十兆円の規模があるものの、電子マネーやクレジットカードの取扱いはほとんどなく、ほぼすべてが現金での取り引きであった。さらに決済事業者としてのクレジットカード会社もこの分野にはあまり熱意を示さなかった。手数料で商売をしているクレジットカード会社にとって少額決済は、手間ばかりかかってうま味が少ない分野だったからだ。たとえば、百円のチューインガムを売ったとしよう。その際の手数料が三%であったとすると、カード会社の儲けは三円にしかならない。オーソリゼーションをかける通信費もてない金額だ。

ところが、五十万円の家具なら一個売るだけで三%の手数料として一万五千円も入ってくる。これだけで十分な収入になるのだ。そこで、クレジットカード会社は、中額・高額決済は自分たちで担当し、少額決済は電子マネー事業者に任せて開拓させればよいという考えをもつようになった。自らは収益率の高い分野を独占して儲けの薄い決済は他人に任せようという考えである。少額決済分野を相手にしていては薄利で、いずれ採算があわなくなるのは目に見えている。当分は放し飼いにしておいていいずれ、折りを見てその分野を取り込めばよいと考えた。