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クレジットカードの仕組みをそのまま使って参入

クレジットカードに参入するに際しては、すでに開発していたおサイフケータイを活用することを考えた。それをクレジットカード(ポストペイ方式)として使ってもらい、引き落としは独自に作り上げたネットワークを経由して行なうというスキームを考案したのだ。ドコモの戦略の特色は、クレジット業界の仕組みをそっくりそのまま携帯電話業界に移したところにある。クレジット事業は、全体を統括するブランドとイシュアー(カード発行)、アクワイアラー(加盟店開拓)という三者で展開している。ドコモはiDというブランドを自ら立ち上げるとともに、イシュアーとアクワイアラーを新しく募集してスタートすることにした。

カード会社の協力を得るために、敢えてクレジットカードの仕組みをそっくり取り入れたといってもよい。クレジット事業においては、アクワイアラーの加盟店開拓の仕事がもっとも重要である。それを三井住友カードに依頼した。JCBと並ぶ日本を代表するアクワイアラーであったからだ。さらに、これを機にドコモは三井住友カードの総額九百八十億円にものぼる第三者割当増資を引き受け、持ち株比率で一気に三四%を取得した。それによって三井住友とドコモはタッグを組んで携帯クレジットという新しい事業を始めることになった。

○五年十二月一日からiDのサービスを開始。アクワイアラーを任された三井住友カードは積極的な加盟店開拓をおこなうだけでなくイシュアーとしてカード発行も行なった。三井住友カードというと、日本一のJCBに次ぐカード会社で、とくに加盟店開拓に関しては抜群の実力をもつといわれる。そうした有力なカード会社が、ドコモと一緒にiDの営業を始める、つまり、電子マネー陣営に寝返ったというので、クレジットカード各社には驚きと共に戸惑いが広がった。